乳がん予防に大豆イソフラボン過剰摂取は危険か?上限値は?

乳がん予防に乳酸菌シロタ株が役立つのではないかという研究があったわけですが・・・

シロタ株に関する研究について

その時同時に、大豆イソフラボンの影響についても調査されました。

ヤクルト社による大豆イソフラボンの研究

このヤクルトによる調査は、過去にさかのぼって食生活を調査し、そこから乳がんの発症リスクを割り出す、というものでした。

対象者は1000人近くの女性ですので、非常に大規模な調査です。

分け方は以下のとおりです。

【シロタ株】
・週4回未満
・週4回以上

【大豆イソフラボン(mg/日)】
・18.76未満
・18.76~28.81
・28.81~43.75
・43.75以上

この2つを組み合わせますので、対象者1000人弱を2×4=8グループに分けることになります。

この中で、最もシロタ株と大豆イソフラボンの摂取量が少ない「週4回未満&18.76未満」のグループの、乳がん発症リスクを100とすると、どちらも最も多い「週4回以上&43.75以上」のグループの発症リスクは36となりました。

つまり、シロタ株と大豆イソフラボンを積極的に取ることで、乳がん発症リスクが64%も下がった、ということになります。

じゃあ、「大豆イソフラボンだけの効果はどうなの?」ということが気になりますよね。

これは、「シロタ株は取ってないけど大豆イソフラボンはたくさん取っている」グループの発症リスクを見てみるといいですね。

「週4回未満&43.75以上」の発症リスクは48となっていました。つまり大豆イソフラボンだけでも半分以下になったことになります。

発症リスクの計算結果

参考までに、発症リスク計算結果をすべて見ておきましょう。

【シロタ株週4回未満】
大豆イソフラボン18.76未満・・・100
18.76~28.81・・・74
28.81~43.75・・・54
43.75以上・・・48

【シロタ株週4回以上】
大豆イソフラボン18.76未満・・・50
18.76~28.81・・・68
28.81~43.75・・・38
43.75以上・・・36

食品に含まれる大豆イソフラボンの量

参考までに、食品に含まれる大豆イソフラボンの量を見ると、納豆は100gあたり70mg、豆腐は20mg、豆乳も20mgとなっています。

納豆は1パック40グラムですので、1パック食べると大豆イソフラボンを28mg摂取できることになります。豆腐1丁は小さめのものでも300グラムですので、これだけで大豆イソフラボン60mgとなります。

世界中の研究を総合した調査結果

大豆イソフラボンと乳がんの発症リスクについて見てみましたが、ヤクルトの研究だけではまだ安心できませんよね。

でもこれについては、中国の学者さんが、世界中の35の研究を分析してくれています。2014年に行われました。

「大豆イソフラボンと乳がん予防」に関する研究を35個ほど探してきて、大豆イソフラボンは乳がん予防に効果があるのか、それとも危険を高めるのかを分析したというわけです。

どの研究も、大豆イソフラボン以外の要因が影響しないよう配慮されたものです。

その結果は、「閉経前でも後でも、大豆イソフラボンは乳がんの予防に役立つ」というものでした。

特に閉経後の数字ははっきりしていて、大豆イソフラボンを最も多く取っているグループと、最も少ないグループを比べると、大豆イソフラボンによって25%も発症リスクが下がっているという結果となりました。

ただ、面白いことに、大豆イソフラボンが効果を発揮するのはアジア人女性で、欧米人女性には効果がないという結果も出ているんですよね。

これはどういうことなのかと。

これに関しては、やはり昔からの食生活の違いが考えられます。

一説によると、食生活の違いから、アジア人と欧米人では腸内細菌の構成が違っていて、アジア人の場合、大豆イソフラボンを「乳がん予防物質」に変換できる善玉菌が多いのではないかということですね。

また、アジア人は大豆を昔からよく食べてきたので、その栄養を有効に利用できる体になっている、と考えることもできます。

ただこれらはあくまで推測に過ぎません。

大豆イソフラボンの過剰摂取は危険?

気になるのは大豆イソフラボンの「過剰摂取」でしょうか。

これに関しては、「大豆イソフラボンの過剰摂取によって乳がんの発症リスクが上がった」とする研究結果はないようです。

ただ、イタリアでの研究で以下のようなものがあります。

対象:閉経後の女性
方法:1日150mgの大豆イソフラボンを「錠剤」で5年間毎日摂取。
結果:子宮内膜増殖症の発症リスクが有意に高まった

子宮内膜というのは、毎月の生理のたびに増殖しては剥がれ落ちる部分です。これが増えすぎる病気を子宮内膜増殖症と言います。

大豆イソフラボンを、「毎日150mg」しかも「錠剤」という不自然な形5年間も取り続けた結果、子宮内膜増殖症の発症リスクが増したというわけです。

大豆イソフラボン150mgというと、納豆5パック半くらいですね。これを5年間続けるわけです。

ただ納豆は自然なものなのでそれでも大丈夫かもしれません。実験では「錠剤」で無理やり詰め込んでいるんです。

そこまで無理して摂取を続けると、「子宮内膜増殖症の発症リスクが高まる」ということですね。

逆に言えば、サプリメントなどで不自然な大量摂取を続けない限りは大豆イソフラボンは安全だということですね。むしろ乳がん予防に役立ってくれるということです。

この実験を参考に、内閣府食品安全委員会では大豆イソフラボンの1日の摂取上限値を「70~75mg」としています。

これは1日の平均値であって、「今日100mgとったから病気になるかも!」というものではないことは、上述のイタリアの実験結果を見ればわかります。

ちなみに大豆イソフラボン70~75mgというと、納豆なら2パック半程度になりますね。

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