もともとテニスコーチのW.ティモシー・ガルウェイさんが考案したものなので、まずはスポーツを対象とした説明となります。

インナーゲームとは

対戦相手との勝負「アウターゲーム(外側の勝負)」とするなら、プレイヤーの心の中での勝負「インナーゲーム(内側の勝負)」と呼ぶことができます。

じゃあインナーゲームとはどんなものかというと、二人の自分「セルフ1」と「セルフ2」の勝負ということになります。

教科書的な定義

まず、ウィキペディアによる定義を挙げ、その後それをわかりやすく単純化してみましょう。

【セルフ1】

インナーゲームにおいて、すなわち心の中で、自分(セルフ2)に対して悪態をついているのがセルフ1である。セルフ1は、常にセルフ2の能力を信頼しておらず、命令を下す。そして結果に対して裁判をし、「判決」を下してセルフ2を非難をする。

【セルフ2】

インナーゲームにおいて、すなわち心の中で、セルフ1によって非難されている側がセルフ2である。セルフ2は無意識的あるいは潜在的な身体能力をすべて含んでおり、実際の運動機能を司っているとされる。セルフ1はつねに言語によってセルフ2に命令を下すが、実際にセルフ2が果たしている機能は常にもっと複雑であり、セルフ2はセルフ1による言語命令をうまく理解できないため、常にこの命令は不本意な結果に終わりがちである。

以上がウィキペディアによる説明です。

わかりやすく要約

これをわかりやすく要約すると、

セルフ1=スポーツ評論家
セルフ2=現場でプレイしている人

ということになりそうです。

この2人がプレイヤーの中にいて、セルフ1があーだこーだと批判したり命令したりしすぎると、セルフ2の動きがぎこちなくなって負けてしまう、ということです。

セルフ1はよくしゃべる

セルフ1は評論家なので、もっぱら言葉で考え、言葉で批判し、言葉で命令する、という特徴があります。

言葉だけを弄するので、その意識は、プレイの一瞬一瞬に集中せず、過去に行ったり未来に行ったりと安定しません

それに対してセルフ2は「その場」に集中しています。

スポーツですからいちいち言葉で考えて動いているわけにはいきません。なのでセルフ2は言葉で説明されても困るというわけです。

そりゃそうですよね。

たとえばテニスで、相手がサーブを打った後に、

「ボールは時速◯◯kmで、右○○度、下◯◯度の角度に、上向きに秒間◯◯回転して…」

なんて考えていたら、一歩も動けずに終わってしまいます。

なので、セルフ1がプレイ中にあーだこーだと言葉で批判したり命令したりすると、「邪魔」でしかないということになります。

そうではなくて、「その場」に集中することで、セルフ2が「体で覚えている」ような知識に任せれば、スムーズに対応することができ、アウターゲームにも勝ちやすくなる、ということです。

個人的「セルフ2」体験

これはスポーツの経験がある人ならうなずけることなんじゃないでしょうか。

私も昔、スポーツをやっていたことがありますのでわかります。

最高度まで集中力が高まった場合は、頭の中の雑音が消えて、相手の動きが全て見えたりしたものです。

また、本格的にやったわけではなく、遊びでやったバスケやバドミントンなどでも、集中力が高まった瞬間は、自分でも信じられないようなシュートやサーブが決まったりしました。

まあそういうことって、稀なんですけどね。^^;

凄い選手というのはいつもそういうことができるのでしょう。

「ゾーンに入る」と言いますが、それはこういう状態ですね。

インナーゲームに勝つには

じゃあ・・・インナーゲームに勝つにはどうしたらいいのかと。

これはセルフ1に対して「黙れ!」とか言っても仕方ありません。

だって、セルフ1は言葉が得意なんだから、言葉で反抗しても喜んで勢力を強めるだけです。

考案者のガルウェイさんが進める方法としては、

「今、ここで起こっていることに集中すること」
「そこに良し悪しの判断を挟まないこと」

だそうです。

たとえば「飛んでくるボールの縫い目を見ようとする」とよいそうです。

これはもう、最高度に集中しないと不可能なことですので、セルフ1が自然に黙ってしまうということなんですね。

あとは。

やっぱり長嶋茂雄さんはすごい

自分のプレイにいろいろ指示を出したくなったとしても、それをセルフ1の得意な言葉で出すのではなく、セルフ2の得意なイメージで出すことですね。

理想的なプレイをイメージするというわけです。

ここで思い出すのが長嶋茂雄さんの指導。

「ボールがキューッとくるだろ」
「そしてググッとなったらウンッっと溜めてパッ」

言葉は使っているのですけど、もうほとんどイメージによる説明です。^^

言葉で説明する際もセルフ1ではなくセルフ2になっている感じですよね。

この説明を聞いた松井秀喜選手も完全に理解したということですので、さすが天才同士といったところ。^^

では次。

ビジネスへの応用

このインナーゲームをビジネスに応用する場合はどうすればいいのか?

ビジネスの場合でも、スポーツのようにその場で反応して動かなければならない場合は、上記のスポーツの例をそのまま使っても良さそうです。

でもビジネスの場合、そうではない状況のほうが多いんじゃないでしょうか。

「その場で即応して動く」というスポーツ的なものではなく、じっくり考えて決断するような状況

この場合、セルフ1とセルフ2はどんなものになるのでしょう。

この場合は、スポーツでのセルフ1とセルフ2よりもバリエーションが増えそうですね。

たとえば

セルフ1…論理的な自分
セルフ2…直観的な自分

だと、スポーツの場合に似ていますが、

セルフ1…楽観的な自分
セルフ2…悲観的な自分

だと、ちょっと違いますね。このあたり、自分で自由に設定することができます。そこがスポーツの場合と違うところ。

また、じっくり考えて決断するような場合は、何もセルフ1とセルフ2の2人だけに限定する必要はないんです。

たとえば自分が尊敬する経営者とか歴史上の人物を、自分の心の中に招き入れて、それぞれになりきって自分の中で会議を開くこともできます

この場合、自分の想像力が追いつくなら5人でも10人でもいいわけです。

こんなこと、スポーツのプレイ中には無理ですが、ビジネスにおいて、「じっくり考えて決断する」ような場面では有効ですよね。

ということでインナーゲームをビジネスに取り入れてみるのも面白そうです。