
私の旅も後半に差し掛かったようです。
石神井公園を東西に分断する街道を越えて、三宝寺池方面に踏み込みました。
三宝寺池の名は、近所にある真言宗のお寺「三宝寺」の名前から取られたようです。
三宝とはいかにも仏教的ですね。仏法僧です。
しかし・・・
仏教の説く涅槃や極楽にはおよそ似つかわしくない存在と出くわしてしまったのです。
中央の道を越えてすぐのところに池があり、板で遊歩道が造られています。
私は暗闇の中、恐る恐る遊歩道を渡り歩いたのでした。
しばらく歩いたところで・・・暗闇の中から物凄い音が聞こえます。
辺り一帯を震わすような羽ばたきと雄叫び・・・
身の危険を感じた時には、「それ」は既に眼前に迫っていたのでした。
「それ」に比べれば、私が石神井公園の東端で出遭った、
あの巨大生物などヒヨコに等しいといえるでしょう。
しかし私は、回れ右して駆け出したくなる気持ちを必死に抑え、
ここに来た目的を思い出して、私のたった一つの武器を構えたのでした。
そして手に入れた「それ」の姿です。

私の視線と彼の視線がぶつかりました。
その威厳に満ちた姿に、私はしばし恐怖すらも忘れて立ち尽くしました。
彼は超然としていたのでした。
私を見てもまったく心を乱されることはないようでした。
彼から見れば私など哀れな生物の一つに過ぎないのかもしれません。
凍りついたまま、どれくらいの時間が過ぎたことでしょう・・・
彼は音もなく舞い上がり、光となって飛び去っていきました。
私は夢から覚めたかのように、自分の使命を思い出したのでした。